消費税

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免税事業者が課税事業者となったときの仕入税額控除

免税事業者が新たに課税事業者となる場合、課税事業者となる日の前日において所有する棚卸資産のうちに、納税義務が免除されていた期間に仕入れた棚卸資産(商品、製品、半製品、仕掛品、原材料、貯蔵中の消耗品等で、現に所有しているもの)がある場合は、その棚卸資産に係る消費税額を、課税事業者になった課税期間の仕入れに係る消費税額の計算の基礎となる課税仕入れ等の税額とみなして仕入税額控除の対象とする。

仕入税額控除の対象とすることができる棚卸資産の消費税額の計算は、
〇棚卸資産を仕入れた日が2019年10月1日以降
その棚卸資産の取得価額に110分の7.8(軽減税率の適用対象となる棚卸資産については108分の6.24)を乗じた金額

〇棚卸資産を仕入れた日が2014年4月1日以降2019年10月1日前その棚卸資産の取得価額に108分の6.3を乗じた金額

〇棚卸資産を仕入れた日が2014年4月1日前
その棚卸資産の取得価額に105分の4を乗じた金額

具体的には、新たに課税事業者となる場合に、2014年4月1日前に仕入れた棚卸資産を有している場合には、その棚卸資産の取得費用の額に105分の4を掛けて棚卸資産に係る消費税額を計算する。一方、新たに課税事業者となる場合に、2014年4月1日以降2019年10月1日前に仕入れた棚卸資産を有している場合には、その棚卸資産の取得価額に108分の6.3を掛けて棚卸資産に係る消費税額を計算する。

棚卸資産の取得価額には、その棚卸資産の購入価格と引取運賃、荷造費用などその購入するために要した費用の額が含まれる。

この適用を受けるためには、その対象となる棚卸資産の明細を記載した書類をその作成した日の属する課税期間の末日の翌日から2ヵ月を経過した日から7年間保存しなければならない。

(参考)課税事業者が免税事業者となった場合
課税事業者だった課税期間の末日に所有する棚卸資産のうち、その課税期間中に仕入れた棚卸資産に係る消費税額は、その課税期間の仕入れに係る消費税額の計算の基礎となる課税仕入れ等の税額には含まれない。棚卸資産のうち、最終の課税期間の仕入に係る消費税は仕入税額控除できない。

居住用建物を事務所など事業に使用した場合の消費税の取扱い

居住用のマンションを賃借して事務所など事業に使用した場合の消費税の取扱いには注意が必要。その家賃に係る仕入税額控除については、契約の当事者間で住宅以外の用途に変更した旨の契約変更を交わしているかで判断することになる。消費税法において、住宅の貸付けが非課税となるのは、契約において人の居住の用に使用することが明らかにされている場合に限られている。居住用と定められた契約のまま、事務所等の居住用以外の用途に使用していたとしても、契約で用途変更しない限り仕入税額控除できない。
契約の当事者間で居住用として契約をしていても、借主が実際に事務所として使用している場合は、その家賃は仕入税額控除できない。これは、住宅の貸付を非課税とする法令の関する消費税基本通達に明記されている。

家賃を仕入税額控除するためには、契約変更が必須となる。
ただし、一般的に用途変更に応じない貸主も多く、合意のないまま借主が用途を変更したことが明らかになれば、契約違反による退去を求められることもある。
借主が仕入税額控除を行うということは、消費税の課税事業者である貸主は、その消費税負担は増える。家賃を消費税分値上げすることにもなる。
居住用のマンションを事務所など事業用として使用するときは慎重な判断が必要がある。

即時充当によるキャッシュレス・ポイント還元に係る消費税の仕入税額控除

1 キャッシュレス・ポイント還元は不課税

キャッシュレス・消費者還元事業費補助金を原資として決済事業者が消費者に対して行う消費者還元は、公的な国庫補助金を財源としたポイント等の付与であり、消費者から決済事業者に対する何らかの資産の譲渡等の対価として行うものではないことから、消費税は不課税となる。

コンビニなどではポイント還元を「即時充当」するケースが見受けられるが、充当されたポイント相当額は商品価格の値引きではないことから、会計処理上、ポイント相当額を雑収入として計上する。

厚 生 費※500  現預金 1069

消 耗品費 500  雑収入 21(不課税)

仮払消費税※ 40

仮払消費税  50

参考:「消費者還元補助公募要領 」

https://cashless.go.jp/assets/doc/kangen_kouboyouryou.pdf

 

2 ポイントの付与・使用

消費者がポイントを付与された場合、使用した場合の会計処理についてについて、国税当局は取扱い方法を明示してはいない。

平成30年税制改正において「収益認識に関する会計基準」へ対応するための改正がされており、「収益認識基準による場合の取扱いの例」や「法人税基本通達の一部改正について」(法令解釈通達)の趣旨説明を公表しており、参考となる。

厚 生 費※491  現 預 金 1069

消 耗品費   490  

仮払消費税※ 39  

仮払消費税  49            

ただし、たとえば500円の消耗品を500円分の自社ポイントで購入した場合、会計処理上、純額処理を採用すると処理なしとされるが、消費税においては、500円を課税仕入れ、500万円を対価の返還等とする処理が必要なことから、実務では総額処理による会計処理を行わないわけにはいかない。

消 耗品費 500  消 耗品費 500(対価の返還等)

仮払消費税   50  仮払消費税   50(対価の返還等) 

    

参考:収益認識基準による場合の取扱いの例

https://www.nta.go.jp/publication/pamph/hojin/kaisei_gaiyo2018/pdf/002.pdf

 

参考:平成30年5月30日付課法2-8ほか2課共同「法人税基本通達等の一部改正について」(法令解釈通達)の趣旨説明

https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/hojin/180530/index.htm

調整対象固定資産、高額特定資産を取得した場合の納税義務の免除の特例等

1.調整対象資産を取得した場合の課税事業者選択不適用届出書の提出の制限
事業者は、次の(1)から(3)の課税期間中に調整対象固定資産の課税仕入れ等を行ったときは、その調整対象固定資産の仕入れ等の日の属する課税期間の初日から、同日以後3年を経過する日の属する課税期間の初日以後でなければ、消費税課税事業者選択不適用届出書の提出はできない(消法9⑦)。 

2.調整対象資産を取得した場合の簡易課税制度選択届出書の提出の制限
事業者は、次の(1)から(3)の課税期間中に調整対象固定資産の課税仕入れ等を行ったときは、その調整対象固定資産の仕入れ等の日の属する課税期間の初日から、同日以後3年を経過する日の属する課税期間の初日の前日までの期間については、消費税簡易課税制度選択届出書の提出はできない(消法37③)。

(1)消費税課税事業者選択届出書を提出し、課税事業者となった
   課税期間の初日から2年を経過する日までの間に開始した課
   税期間
(2)新設法人の基準期間がない事業年度に含まれる課税期間(3)特定新規設立法人の基準期間がない事業年度に含まれる課税
    期間

※調整対象固定資産:棚卸資産以外の資産で、建物及びその附属設備、構築物、機械及び装置、船舶、航空機、車両及び運搬具、工具、器具及び備品、鉱業権その他の資産で、一の取引単位の価額(税抜価額)が100万円以上のもの

3.高額特定資産を取得した場合の納税義務の免除の特例
事業者(免税事業者を除く)が、簡易課税の適用を受けない課税期間中に高額特定資産の仕入れ等を行った場合には、高額特定資産の仕入れ等を行った日の属する課税期間の翌課税期間からその高額特定資産の仕入れ等の日の属する課税期間の初日以後3年を経過する日の属する課税期間までの各課税期間における課税資産の譲渡等及び特定課税仕入れについては、納税義務の免除の規定(消法9①)は適用されない。

4.高額特定資産を取得した場合の簡易課税制度選択届出書の提出の制限 
簡易課税の適用を受けようとする事業者が、高額特定資産の仕入れ等を行った場合には、その高額特定資産の仕入れ等の日の属する課税期間の初日からその初日以後3年を経過する日の属する課税期間の初日の前日までの期間は、消費税簡易課税制度選択届出書の提出はできない。(消法37③)

※高額特定資産:一の取引の単位につき、課税仕入れに係る支払対価の額(税抜)が1,000万円以上の棚卸資産又は調整対象固定資産


参考:課税売上割合が著しく変動したときの調整

 課税事業者が調整対象固定資産の課税仕入れ等に係る消費税額について比例配分法により計算した場合で、その計算に用いた課税売上割合が、その取得した日の属する課税期間(以下「仕入課税期間」といいます。)以後3年間の通算課税売上割合と比較して著しく増加したとき又は著しく減少したときは、第3年度の課税期間において仕入控除税額の調整を行います。
 なお、この調整は、調整対象固定資産を第3年度の課税期間の末日に保有している場合に限って行うこととされていますので、同日までにその調整対象固定資産を除却、廃棄、滅失又は譲渡等したことにより保有していない場合には行う必要はありません。

※1.比例配分法とは、個別対応方式において課税資産の譲渡等とその他の資産に共通して要するものについて、課税売上割合を乗じて仕入控除税額を計算する方法又は一括比例配分方式により仕入控除税額を計算する方法をいいます。
 なお、課税期間中の課税売上高が5億円以下、かつ、課税売上割合が95%以上であるためその課税期間の課税仕入れ等の税額の全額が控除される場合を含みます。
※2.第3年度の課税期間とは、仕入課税期間の初日から3年を経過する日の属する課税期間をいいます。
※3.通算課税売上割合」とは、仕入課税期間から第3年度の課税期間までの各課税期間中の総売上高に占める課税売上高の割合をいいます。

1 通算課税売上割合が著しく増加した場合

 通算課税売上割合が仕入課税期間の課税売上割合に対して著しく増加した場合には、次の金額(加算金額)を第3年度の課税期間の仕入控除税額に加算します。

加算金額=(調整対象基準税額×通算課税売上割合)-(調整対象基準税額×その仕込課税期間の課税売上割合)?注1 著しく増加した場合とは (通算課税売上割合-仕込課税期間の課税売上割合)÷仕込課税期間の課税売上割合≧50÷100?かつ 通算課税売上割合-仕込課税期間の課税売上割合≧5÷100

2 通算課税売上割合が著しく減少した場合

 通算課税売上割合が仕入課税期間の課税売上割合に対して著しく減少した場合には、次の金額(減算金額)を第3年度の課税期間の仕入控除税額から控除します。

減算金額=(調整対象基準税額×その仕込課税期間の課税売上割合)-(調整対象基準税額×通算課税売上割合)?注1 著しく減少した場合とは (仕込課税期間の課税売上割合-通算課税売上割合)÷仕込課税期間の課税売上割合≧50÷100 かつ 仕込課税期間の課税売上割合-通算課税売上割合≧5÷100

 なお、控除しきれない金額があるときには、その金額を第3年度の課税期間の課税売上高に係る消費税額の合計額に加算します。(消法2、30、33、消令5、53、消基通12-3-3)







「中小企業のための消費税軽減税率対策」を無料配布 日本商工会議所

日本商工会議所は、消費税軽減税率制度の概要をはじめ、同制度導入により変更が必要となる事務や国の支援策、価格転嫁対策、資金繰り等について分かりやすく解説した小冊子「中小企業のための消費税軽減税率対策」を発行した。

本小冊子は、全国の商工会議所を通じて、中小企業・小規模事業者向けに無料で配布している。

 

 

「中小企業のための消費税軽減税率対策」(A5判4色・28頁)

http://www.jcci.or.jp/chusho/c-tax.2016sasshi.pdf

 

 

※小冊子はお近くの商工会議所へ

http://www5.cin.or.jp/ccilist/search

消費税軽減税率対策補助金について、分かりやすく解説したパンフレットを改訂しました。 中小企業庁

概要

2019年10月の消費税10%への引き上げと同時に導入される軽減税率制度への対応のための補助金をわかり易く解説した「今日から始める消費税軽減税率対策」と「消費税軽減税率まるかわりBOOK」のパンフレットを改訂しました。
軽減税率への対応が必要な中小企業・小規模事業者の方々が、レジの入れ替えや改修等を行う際に補助金が出ます。この度、補助金の申請期間の延長等を行いました。中小企業・小規模事業者の方々においては、本制度を活用して早めに準備をお願いします。また、支援機関やメーカー、ベンダーの皆様においては、本パンフレットを活用して早めの対応を促すように周知をお願いします。

「今日から始める消費税軽減税率対策」   「消費税軽減税率まるわかりBOOK」  

今日から始める消費税軽減税率対策

  消費税軽減税率まるわかりBOOK  
 

軽減税率制度・適格請求書等保存方式 通達 国税庁

軽減税率制度・適格請求書等保存方式 Q&A 国税庁

  

軽減税率制度とは(リーフレット等) 国税庁

軽減税率制度・適格請求書等保存方式 制度の概要 財務省

全体版PDFはこちら(PDF:1386KB)

軽減税率制度・適格請求書等保存方式 参考条文等 財務省

軽減税率制度・適格請求書等保存方式 参考条文等

軽減税率関係参考条文等

消費税の軽減税率制度の実施に伴う価格表示について 財務省

消費税の軽減税率制度の実施に伴う価格表示について
平成30 年5月18 日

1、Q 個人で事業を始めたのですが、消費税はいつから納めたらいいですか

A   消費税は原則として「基準期間」(その年2年前)の課税売上高(消費税の課税の対象となる売上)で納税義務の有無が決まります。そしてその基準期間の課税売上高が1000万円を超える場合に納税義務(申告義務)が発生することになります。即ち貴方様の場合は、事業を始めた年の課税売上高が1000万円を超える場合には2年後から消費税の納税義務が発生します。(この判定はその基準期間においてその方が免税業者の場合は税込金額で、課税業者の場合は税抜金額で判定します)

ただし、平成23年度の税制改正で平成25年以後は前年の1月~6月までの課税売上高が 1000万円を超える場合(人件費での判定も可)には、翌年から納税義務者になりますの でご注意ください。

2、Q 会社を設立したのですが、消費税はいつから納めたらいいですか

A 法人の場合は個人事業者と少し異なります。まず、原則は個人事業者と同じく基準期間(会社の場合は前々事業年度となります)の課税売上高が1000万円を超えた場合に納税義務が発生します。(前々事業年度が12か月でない場合には12か月に換算しなおして判定します)ただし、資本金が1000万円以上の新設法人については、設立当初2年度は課税業者となりますので注意が必要です。(3期目からは原則に戻りますので、基準期間の課税売上高で判定します。)
 

また、個人事業者と同様に平成23年度の税制改正で平成2511日以後に開始する事業年度については前事業年度の上半期6か月の課税売上高が1000万円を超える場合(人件費での判定も可)には、翌期から納税義務が発生することになりました。

3、Q 消費税の計算が煩わしいので簡易課税にしたいのですが。

A 基準期間の課税売上高が5000万円以下の場合は簡易課税を選択することができます。この適用を受けようとする場合には、受けようとする年の前年1231日まで(法人の場合は開始事業年度の前日まで)に届け出る必要があります。(但しやむを得ない事情があった場合などは別途規定があります)

簡易課税の場合は、売上の種類によって仕入控除の金額が決まりますので、複数の種類の売上がある場合にはきっちりと区分しなければ、不利になる場合がありますのでご注意ください。また、実額計算に比べ有利不利が生じますので、選択は慎重に行う必要があります。なお、一旦選択した場合には原則2年間は変更ができませんので、そのことも考慮して選択して下さい。

4、Q 消費税の申告はどのようになっているのでしょうか

A 一般的に個人事業者は課税期間の翌年3月31日まで、法人の場合は事業年度終了の日から2カ月以内に「確定申告」をしなければなりません。また、その年(年度)の年税額が48万円(地方消費税を含めると年60万円)を超える場合には半期に一度「中間申告」をする必要があります。また、年税額が400万円(地方消費税を含めると年500万円)を超える場合には3カ月ごとに「中間申告」をしなければなりません。この中間申告は前年又は前期の実績に基づくものと仮決算をする場合とがあります。

その他、課税期間の短縮等を選択することもできますので、詳しくはお尋ねください。

5、Q 申告納税額を一度に納付すること困難なのですが・・・

A 消費税は業績が悪くても納税額が発生する税ですので、国税の滞納が最も多い税目です。事業が苦しい場合などに、納税資金が運転資金に回っているために納付が困難になる場合が多いので、あらかじめ納税資金をプールしておくことが重要です。

しかし現実に納付が困難になった場合は、支払が可能な方法を所轄の税務署にご相談ください。ただし、遅延利息(延滞税・・・経費にはなりません)が発生します。もし放っておくとすぐに差し押えられますので、ご注意ください。実態はともかく、消費税は「預っているお金」と考えられており、罰則が厳しいことも知っておく必要があるでしょう。


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